温泉が医療機関に?温泉と医療の関係「温泉療法」

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温泉が医療機関に?温泉と医療の関係「温泉療法」

更新日: 2016-12-23 15:33:00コラム
温泉が医療機関に?温泉と医療の関係「温泉療法」

活火山を多く有していることから、歴史を紐解いていっても石器時代からも温泉の原型・洞窟内での蒸気浴文化がすでに根付いていた「温泉大国」日本。現在はその数3,000を数える温泉は、年間億単位の人々が利用することからも、温泉の在り方自体が注目を集めています。

皆さんも身体を癒すため、あるいは、ストレス解消やリフレッシュを目的として温泉に足を伸ばす機会が多いかと思います。それは、私たちが本能的に、「温泉に入ると癒される」「温泉に浸かると身体の疲れがとれる」と知っているからだと思いますが、ではその根拠とは、何なのでしょうか。

なんとありがたいことに、私たち日本人はこの世に生を受けたその時にはもう日本のあちこちに温泉施設があり、日本はそれを文化として楽しめるほどに豊かな国になっていました。
そんなこともあり、そこに温泉があることは当たり前に思ってしまいがちで、本能的に「温泉=癒し」といった方程式が出来上がっていてその本質に触れる機会があまりに少ないような気がしています。
というわけで、今回は温泉に医学的なメリットについて触れてみたいと思います。

皆さんは、「温泉療法」という言葉をご存知でしょうか。
温泉療法(おんせんりょうほう)とは、温泉への入浴や吸引療法・飲泉療法によって、疾病や傷、身体の不調を改善する医療法のことを指します。
歴史を紐解けば、「湯治(とうじ)」として古代の日本でも既に始まっており、かつての水浴が医療の一環としても活用されていました。湯治とは、1ヶ月ほどの期間をかけて温泉地でゆっくりと休養をすることを言い、記述としては、日本書紀や古事記などにもその面影が見られます。
そんな温泉療法ですが、身体への影響としては主に、物理的作用・化学的作用・転地作用などが挙げられます。

◆物理的作用◆(主に浮力作用・水圧作用・温熱作用などがあります)
【浮力作用】
人の体重は、水中では通常の体重の9分の1になり、身体がふわふわとした感覚に陥ります。これは水中の浮力が及ぼすもので、水中では身体が軽く感じ、筋肉や関節が非常に動かしやすくなります。そのため、身体を筋肉や関節を動かす際の身体への負担が軽減します。
また、水には摩擦抵抗があるため、水の水圧の抵抗を活かして筋力アップや運動機能の向上などにも効果を発揮することから、ダイエットやリハビリテーションにも広く活用されている作用です。

【水圧作用】
身体を温泉に浸けることで、身体にある一定の水圧がかかります。水圧を受けた身体の表面積は収縮を起こします(部位によって多少異なります)。
むくんだ身体は疲労感を生みますが、その状態の身体に水圧をかけることで、むくみの原因となる身体の中の水分が上へ上へと押し上げられ、ある程度のマッサージ効果となって身体をほぐしてむくみを改善します。
また、水圧のかかった状態で呼吸をすることにより、呼吸器官の働きが上昇、強化されます。

【温熱作用】
温泉に入浴することによって、血行や皮膚、筋肉などに良い影響を与え、血行促進を促す作用のことを指します。
温熱効果によって、ある一定の疾患への効果が得られたり、高温・低温の温度利用によっては、麻酔のような作用をもたらしたり、リラックスを促す作用を与えたりと、身体への様々な効果が期待できます。
また、温泉の温熱によって汗腺が開き発汗が活発になるため、皮膚上の角質除去や汚れを取り去り皮膚を清潔に保ちます。

◆化学的作用◆
微量の放射性物質ラドンや二酸化炭素、硫化水素など、温泉には身体に良い効果をもたらす成分が入っており、これらの成分は脂に溶けやすいことから、主に人体の皮膚や肺から吸収されます。皮膚や肺から吸収されたそれらの成分は医学的に身体に作用し、「効能」として、リウマチや神経痛、高血圧、火傷、肩こり、腰痛、関節痛などの諸症状へ効果をもたらします。
また、それ以外にも、皮膚上の殺菌や洗浄など、疾患予防としても効果的とされています。

◆転地作用◆
自然や風景、情緒あふれる恵まれた環境にある「温泉地」の環境に触れることで、肉体疲労だけでなく精神疲労においても、効果を発揮します。例えば、広大な自然に囲まれた景観や空・川・高原や渓谷など、いわゆる「秘境」と呼ばれるような風情ある風景を携えた温泉地は、私たち人間の持つ自立神経に影響を及ぼします。特に、このような自然に触れたり開放感のある空間に身を置くことで、副交感神経が刺激され、リラックス状態を作り出します。こうして心理的にストレスから解放された状態となり、これを転地作用と呼びます。
また、お湯の熱さでも自律神経はおおいに刺激され、お湯の熱さを感じることで興奮状態の際に働く交感神経が優位となり、人肌程度のぬるま湯を感じることでリラックス状態を作り出す副交感神経が刺激され高まります。

このように、温泉療法とは、入浴や吸引療法・飲泉療法などを含む温泉が身体へ作用し、体調改善やリフレッシュなど、本来身体が持ち合わせている自然治癒力を高める効果があるとされているのです。

◆「癌(がん)」に効く温泉?◆
ガンに効く温泉がある、という話はご存知でしょうか。
にわかに信じがたい、という思いも横行しているようですし、効果がある、という声もあるようです。実際には科学的な根拠は明確なものがないとされている中で、これについては検証や研究が進められており、今なお賛否両論、様々な意見が交わされています。
ただ、効果がある、と言われている温泉については、ひとつの共通点があります。それが、「ラドン泉」「ラジウム温泉」です。
ラジウムとは放射性元素の1つで、ウランが壊変したもの。更にラドンとは、そのラジウムが壊変したものを指し、放射性のガスのことをいいます。ラジウム温泉とは、温泉の中にラジウムが溶けこんだもののことで、ラジウム温泉から出る気体がラドンとなり、呼吸器官から私たちの体内へと取り込まれていきます。
ラドンにはマイナスイオン効果があり、ストレス緩和や精神安定の促進、免疫機能UP、老化防止などに作用するという研究結果も出ており、医学的にガンに効果的であると謳っている施設や温泉、医院などが実際にあるようです。

ラドン泉やラジウム温泉などのように、微量の放射線を効果的に身体に取り入れることでガン抑制遺伝子として代表的なp53を活性化させることが出来るという研究結果もあり、このような微量の放射線による効果は、「ホルミシス効果」と呼称されています。
ホルミシス効果とは、多量に用いると有害となる物質を、微量に用いることで有益な効果をもたらすことを指し、微量の放射線を発するラドン泉やラジウム温泉に入浴することは、ラドン治療などとも呼ばれ、今注目を集めています。

ガンに効果がある、とされている温泉は、秋田県の玉川温泉、福島県のやわらぎ温泉、山梨県の増冨温泉、群馬県の奈女沢温泉、鳥取県の三朝温泉、鳥取県の関金温泉など、全国に点在しています。

しかしながら、昨今の災害の影響もあり、放射線泉へは良い印象を持っていない方が多いのも現状です。
どちらかといえば、手当たり次第言われるがまま、それらの温泉を試すというよりかは、自身の症状や目的などにあわせて、身体と相性の良い温泉を試すことがベストではないかな、と私は思っています。

◆「温泉」・・・ヨーロッパは治療、日本は癒し◆
全国には温泉病院や湯治宿のような施設が点在しています。温泉は癒しやリラックス目的としてはもちろんのこと、先述したような医学的効用も持っており、今や温泉はひとつの医療機関としても認識されつつあるのです。
ヨーロッパの例で言えば、温泉地には温泉療法の専門医や温泉療法医と呼ばれる専門家が常駐しているのが当たり前のようになっていますが、日本はその点において、まだまだヨーロッパには追いついていないと言われています。
原因としては、温泉医学に精通する医師が過少であることが挙げられます。裏を返せば、ヨーロッパには日本のような風情を感じるような温泉は少なく、どちらかといえばカルテ片手に医療目的で入浴する温泉施設が多いということです。

私は日本の趣きある景観と歴史ある温泉宿の和の心、みたいなものが好きで、それでこそ心身共に癒される感覚がありますが、もし仮に湯治や温泉療法を用いた温泉を試してみたとしたら、また違った温泉のあり方のようなものを実感出来るのかもしれません。

筆者: サポート担当 井上